※本サイトは 『初級公務員社会科学の完全マスター(2007年4月30日初版)』 の内容を引用しています。

日本銀行と金融政策

経済

(1)貨幣機能と通貨制度

▶貨幣の機能

 ①通貨の種類–通貨とは財・サービスの交換手段として用いられる貨幣のことで、日本銀行発行の紙幣である日本銀行券と政府発行の硬貨である補助貨幣とからなる現金通貨と普通預金や当座預金とからなる預金通貨とがある。

 ②貨幣の機能–基本的な機能としての商品の価値を計る基準であり、商品の流通手段である。また派生的機能として、貯蔵と支払の手段である。

▶金本位制と管理通貨制度

 ①金本位制–貨幣制度の基礎となる本位貨幣を金とし、金の一定量と等価の通貨を発行する。中央銀行の発行する通貨は兌換銀行券とよばれ、金との交換を保証し、また一国の流通量は中央銀行の保有する金の量で決定される。19世紀から1920年代まで主要国で採用されていた。

 ②管理通貨制度–金保有とは関係なく中央銀行が通貨の発行・流通量を操作できる通貨制度。ケインズが提唱、1930年代以降各国で制度化された。通貨量の調整・管理による金融政策・財政政策を通し、景気調整や経済の安定を図りやすいが、通貨が増発されやすくインフレーションを招きやすい。

(2)金融と金融市場

▶金融

 ①金融とは–貸付資金が家計などの供給者から企業などの資金需要者まで流通する改定をいい、その取引を仲介する機関が金融機関で、銀行がその代表。

 ②金融市場–資金の需要・供給を調整するはたらき、あるいはしくみをさす。そこで需給の調整は、利子率(金利)を通してなされる。証券市場などの長期金融市場・銀行などからの融資である短期金融市場、金融機関相互の短期融資であるコール市場とがある。

▶金融機関

 ①種類–中央銀行である日本銀行、銀行を代表とする民間金融機関、国際協力銀行や預金保険機構などの政府金融機関がある。銀行には全国規模で活動する都市銀行と地元と密接な関係を持つ地方銀行、産業の設備資金の融資を目的として長期信用債券の発行をする長期信用銀行、信託業務を主に行う信託銀行がある。都市銀行と地方銀行を合わせて普通銀行(市中銀行)ともよぶ。

 ②銀行の業務–預金など資金を受け入れる受信業務、資金貸付などの授信業務と、遠隔地間の資金の貸借決済を行う為替業務がある。

 ③銀行の信用創造–銀行が預金通貨を創造することをいう。すなわち、支払いに現金ではなしに小切手を使う当座預金を銀行が貸し付けに利用することによって、最初の預金の何倍もの預金を作り出す。しかし、銀行には預金引き出しに備えて用意した預金の一部を支払い準備に充てるため、想像しうる信用の最高額は、次の式で求められる。

(3)日本銀行と金融政策

▶日本銀行

 ①日本銀行の性格–国家の金融政策の中心になる金融機関が中央銀行である。米国では連邦準備制度理事会(FRB)、英国ではイングランド銀行、日本では日本銀行がこれに当たる。

 ②日本銀行の役割–銀行券(紙幣)を発行する唯一の銀行で発券銀行といわれる。また、市中銀行から準備預金の受け入れと、市中銀行への貸し付けを行うことから銀行の銀行。さらに政府への資金の貸し付け、国庫金の出納や公債の発行・償還に関する業務を担当することから政府の銀行といわれる。

▶金融政策

 ①基準割引率および基準貸付利率–2006年7月のゼロ金利政策の解除後の翌月に日本銀行は公定歩合の名称を基準割引率および基準貸付利率に変更した。これまで日本銀行は公定歩合を操作することで政策金利を調整してきた。日本銀行が市中銀行に貸し出す資金の利率が上がると市中銀行は資金コストが上昇するから貸出金利を上げる。こうして政策金利が各種の金利の最低水準であることから、これが引き上げられると金利体系全体も上昇した。金利の上昇は借り手の負担を増大させるから、企業や個人の資金需要は減退した。資金が活発に使われなくなるとモノに対する需要も減り、物価は沈静し景気は悪くなった。公定歩合の引き上げは景気が過熱気味の時に行われ、景気や物価を適正化する効果を持った。現在はコールレート(無担保コール翌日物)政策金利となっている。

 ②公開市場操作–日銀が手持ちの債権や手形を金融市場で売買することで、おカネの流れる量を調整する。すなわち、金融市場に資金が不足し、日銀は経済を刺激するため市場から債券や手形を買い上げて資金を市場に提供する。これを買いオペレーション操作という。

 ③支払準備操作–預金準備率操作ともいう。支払準備制度は金融機関が貸付過多で預金の支払いができなくなるのを防ぐためのもので、一定の支払準備の保有を義務付けている。この準備率を引き下げると金融機関の貸し出しは活発化し金融市場は緩和する。また、引き上げると自由に貸し出しできる資金が不足し金融市場は引き締まる。

▶金融の新しい動き

 ①マネーサプライ管理政策–1970年代後半以降、金融の自由化、国際化が進み、従来の金融政策の無力化の中で注目されている。マネーサプライ(通貨供給量)とは現金政策の無力化の総量のことで、この増加率に一定の目標値を決め調整することを通じ、金利の調整、インフレ抑制、経済の安定拡大をめざす。

 ②金融の自由化–金融に対する国の規制をゆるめ自由競争にゆだねようとするもの。1980年以降金利の自由化、対外資本取引や国債取り扱いの自由化などが進めらてきている。さらに、近年はビックバン(金融ビッグバン)といわれる金融システムの大改革が進められている。

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