(1)経済の成長
▶経済の成長
①経済成長–国内総生産の規模の拡大・縮小で計る。成長率には物価水準の変動を考慮しない名目成長率と、物価水準の変動を除いた実質成長率がある。


②経済成長の要因–GDP拡大のためには拡大再生産が必要であり、そのためには資本が蓄積され、投資が活発になされる必要がある。
▶日本の経済成長
①戦後の動き
1940年代後半–財閥解体、農地改革、労働組合の育成など経済民主化の改革時期
高度経済成長期–1950(昭和25)年の朝鮮戦争の特需景気で経済成長率上昇。政府が国民所得倍増計画を発表した1960年ころから約10年年間、実質成長率が年率10%という高度経済成長期。
安定成長時代–1973年の第一次石油危機で狂乱物価となり政府の引締め政策で初めてマイナス成長となり、以後、安定成長へ移行。
②高度経済成長の要因–企業面では、投資意欲が旺盛で、欧米先進国から技術革新の成果を導入し、これに改良を加え、新しい製品市場に進出したこと。家計面では、国民の個人貯蓄率が高く、これが銀行を経由して企業に貸し出される間接金融方式が機能したこと。さらに、質の高い労働力があり、終身雇用、年功序列型賃金、企業別組合といったわが国独自の雇用慣行が労働者と企業の一体感を育ててきたこと。政策的に経済の民主化が図られ、国内市場が拡大するとともに、主要産業を保護・育成した産業政策が交際競争力をもたらせたこと。また、海外市場の面でも、アメリカ中心に進めてきたIMF・GATT体制による貿易の自由化の成果を利用できたことがあげられる。
(2)景気の循環
▶景気の循環(景気変動)
①景気の4局面–資本主義経済では経済成長を短期的にみると、好景気と不景気をくりかえす。これを景気循環(変動)という。これは好況(好景気)・後退・不況(不景気)・回復の4局面からなる。景気の後退が急速に進行し急激に不景気に落ち込むことを恐慌という。
②景気変動の周期–約50年周期で起きる技術革新に基づく長期波動をコンドラチェフの波というう。10年周期に起きる設備投資の循環に基づく中期波動をジュグラーの波。約40か月周期で起きる在庫調整に基づく短期波動をキチンの波という。
▶わが国の景気変動
①好況・不況の主なもの
神武景気(1955-57年)–朝鮮特需後の活発な設備投資に支えられた好景気で高度成長期の初期を形成。56年度の経済白書は「もはや戦後ではない」と評す。
なべ底不況(1958年)–神武景気の過熱により、国際収支がアンバランス(国際収支の天井を打つ)となり、金融引き締めがなされたことに原因。1年で回復。
岩戸景気(1958-61年)–再び設備投資が活発化して好景気となった。これを刺激したのが1960年池田内閣の国民所得倍増計画。
オリンピック景気(1964年)–1962年に再び国際収支の天井を打ち、景気が後退したのが、64年に開催された東京オリンピック準備のための公共投資や設備投資で好景気となった。
40年不況(1964-65年)–生産能力が国内市場の規模を上回り、また国際競争力が不十分であったことから生じた不況。
いざなぎ景気(1965-70年)–第2次高度成長をもたらした好景気。日本の生産力・経済力が国際市場の自由化の下で地位を確立。
ドルショック、オイルショック(1971、73年)–日本経済はマイナス成長、世界的なスタグフレーションに陥る。1985年のプラザ合意により円高不況に陥る。1986年末頃から株価高騰などの影響による平成景気(いわゆるバブル景気)が始まり1991年に株価下落などの影響による平成不況(いわゆるバブル不況)が始まった。
(3)インフレーション・デフレーション
▶インフレーション・デフレーション
①インフレーション–景気変動が最も明らかにあらわれるのが物価変動である。物価が持続的に上昇することをインフレーションという。過度のインフレは預貯金が目減りし、生活設計が立たないこと。さらに資産をもっている人とそうでない人との間に経済的な不公平が生じる。
②デフレーション–物価が持続的に下落することをいう。景気が停滞し需要が減ると、生産が相対的に過剰となって発生するデフレの下では実質金利が上昇することもあって企業の投資意欲は低下する。
▶インフレーションの種類
①原因別–需要が供給を上回り、この余分に付け加わった超過需要により物価が上昇することをデマンド・プル・インフレという。原材料費や賃金などのコストが上昇したことにより物価が上昇することをコストプッシュ・インフレという。
②物価上昇の速さ別–2~3%程度とそれほど物価上昇率は激しくないが毎年確実に物価が上昇することをクリーピング・インフレという。10~20%と駆け足のような速さで物価が上昇することをギャロッピング・インフレという。
③特殊なもの–1973年の第一次オイルショック時に典型的に表れ、景気が停滞し失業問題発生しているにもかかわらず、物価が上昇することをスタグフレーションという。


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