(1)完全市場と価格
▶市場と価格
①経済循環–経済活動を国全体で見てみると、家計、企業、政府の3経済主体に金融を加えた4つの間で、財・サービスが生産・分配・消費をくり返す。経済循環の中で、財・サービスの需要(買い手)と供給(売り手)が出会う場(またはそうした関係)を市場という。
②市場の種類–取り引されるものから、商品市場・金融市場・労働市場・為替市場などがある。市場での売り手と買い手の数から売り手と買い手が多数いて自由な競争が行われる完全市場と、売り手または買い手が少数で不完全な競争が行われる不完全市場とがある。
③価格機構–完全市場では価格の変化が、需要と供給を調整し、資源の配分を自動的に調整する自動調節機能がある。こうした価格の動きとしくみを価格機構といい、これに基づく経済のしくみを市場機構(市場メカニズム)という。
▶市場価格
①需要・供給の法則–需要量は価格が高くなると減少し、価格が下がると増加する。供給量は価格が高くなると増加し、価格が下がると減少する。縦軸に価格、横軸に数量をとって需要曲線・供給曲線を描くと、一般的に需要曲線は右下がり、供給曲線は右上がりの傾斜を持つ。

左の図は、D-Dが、ある商品の需要、S-Sが供給を表わす。価格がP₀からP₁に上がると生産者が生産量をふやしたり新たに生産を始めるおのが現れるため、市場への商品の総供給量はQ₀からQ₁に増える。ところが、価格が上がったとき需要者は一般に購入量を減らすため、需要量はQ₀からQ₃に減る。この結果、商品はQ₁とQ₃の差の分だけ供給過剰となり、市場における競争によって需要量と供給量が等しくなるところまで価格は低下し、需要量と供給量の交点B(P₀,Q₀)で均衡する。この均衡価格のことを市場価格という。
②市場メカニズム–自由な競争に基づく市場メカニズムは、資源の効率的配分を促すが、道路や公園などの社会資本が供給されないこと、公害などの社会的不利益(外部不経済)を発生者が直接に負担するしくみになっていないなどの短所をもつ。
(2)不完全市場と価格
▶不完全市場
①規模の利益–一般に、企業の生産規模が大きいほど商品のコストは低下する。これを規模の利益という。現代の企業は規模の利益を求めて、企業の吸収・合併、資本の集中を進め、市場に参加する企業数が少ない、寡占市場を生み出す。
②独占の形態–同一産業内の有力な企業が価格・生産量・販売価格・販売地域などについて協定を結ぶカルテル(企業連合)、同一産業内の有力企業が吸収や合併によって市場支配力を持つトラスト(企業合同)、持株会社を中心に異種産業分野の企業を持株によって支配するコンツェルン(企業結合)がある。また売り手または買い手が1人の独占に対し、2人の複占、少数の寡占の分類もある。
▶不完全市場と価格
①管理価格–少数の大企業が支配している寡占市場では、有力企業がプライスリーダー(価格先導者)として、一定の利潤が確保できる価格を設定し、他の企業がそれにならい、価格競争を避ける。これを管理価格という。この価格は商品が供給過剰であっても需給関係を反映せず、また技術革新で生産費が下がっても価格の低下はほとんど起こらない下方硬直性をもつ。
②非価格競争–価格競争が少ないと、企業間の競争は価格や品質でなく、デザイン・スタイルなどの商品の差別化やアフターサービスやローン販売などの販売条件、膨大な広告・宣伝費などの形をとる。
③独占禁止法–不完全市場では価格の自動調整機能が動作せず、社会的公正に反し、消費者に不利益を及ぼし、正常な経済発展を阻害しかねない。市場の自由競争を
維持するために1947(昭和22)年、独占禁止法が制定され、その目的のために公正取引委員会が設置されている。
(3)現代の企業
▶企業の種類
①私企業–個人経営と共同経営がある。共同経営は、合名・合資・合同・株式といった会社企業と農業や生協といった組合企業からなる。
②公私混合–各種の公庫・公団と日本銀行などの特殊会社がある。
③公企業–国・地方公共団体が出資・経営する企業。上下水道や公営バスなど地方公営企業がある。なお、国が経営する国営企業・特殊法人は、廃止や統合、民営化されて、独立行政法人の合理化も進む。
▶株式会社
①特徴–企業活動に必要な資本を、少額な株式に分割して、多数の人々から巨額の資金を調達するしくみで、現代の企業の主役である。株主は出資額に応じた責任と経営に対する発言権をもつ。実質的な企業経営は専門的経営者が担当することから、
資本と経営の分離といわれる。
②株式–株主に与えられている権利を証書にしたもので株券ともいう。証券取引所に上場された株式は証券会社を通じて自由に売買できる。
▶現代の企業
①複合企業–複数の産業や異業種にまたがって多角的な企業活動を行うもので、コングロマリットともいう。
②多国籍企業–複数の国に経営資産をもち、世界規模で企業活動をする企業。マルチナショナルエンタープライズともいう。1950年代末、西欧諸国の資本の自由化に応じ、米国の大企業が西欧に進出、多国籍化して以降、先進国の大企業で一般化した。


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